夏の終り頃からスーパーで見かける機会が増える梨。梨にはたくさんの品種があるので、どれを買えばいいか悩んでしまいますよね。この記事では、梨の人気品種とその特徴や、注目の新品種についてご紹介します。
梨の種類は?
日本でよく食べられている「和梨」は、大きく2種類に分けられます。ひとつずつご紹介します。
赤梨
「赤梨」は、赤みがかった褐色の果皮が特徴です。
果皮はザラザラとしており、シャリッと甘い果肉が味わえます。国内で流通している梨の多くは赤梨です。
代表的な品種に、「幸水」「豊水」などがあります。
青梨
「青梨」は、黄緑色の果皮が特徴です。
果皮はツルッとしており、赤梨よりも果肉に酸味があります。爽やかな甘酸っぱさを味わいたいなら青梨がおすすめです。
代表的な品種に、「二十世紀」「かおり」などがあります。
昨年の梨人気ランキング
※2023年7~9月のデータ生産量が多い梨品種ランキング
国内の梨の品種別栽培面積ランキングは、以下のとおりです。
- 1位:幸水 3568.6ha 39.9%
- 2位:豊水 2321.4ha 26.0%
- 3位:新高 847.9ha 9.5%
※農林水産省生産局園芸作物課「平成30年産 特産果樹生産動態等調査」参照
生産量が多い品種は「幸水」「豊水」で、国内で生産されている梨の半分以上を占めています。
幸水や豊水は8月から9月頃にかけて旬を迎える品種です。夏の終り頃にスーパーでよく目にする品種は、幸水、豊水が多いかもしれません。
梨の主な産地
国内の梨の主な産地は、以下のとおりです。
- 1位:千葉県 1万8,200トン
- 2位:長野県 1万3,700トン
- 3位:茨城県 1万3,500トン
※2020年農林水産省「作況調査(果樹)」参照
国内では、千葉県で最も多く梨が栽培されています。千葉県の火山灰土壌と海に囲まれた温暖な気候は、梨の栽培に適しているそうです。
寒暖差の激しい盆地が広がる長野県でも、梨の栽培が盛んにおこなわれています。茨城県ではオリジナルの品種「恵水」が栽培されています。県を上げて梨の栽培に力を入れているようです。
【2023年版】梨の人気品種・新品種とその特徴
たくさんある梨の中でも人気が高い品種と、注目の新品種をご紹介します。
新高(にいたか)
「新高」とは赤梨の一種です。国内生産量が多い「幸水」「豊水」に続く生産量を誇っています。
500gほどの大玉で、上手く栽培すればなんと1kgに達することもあるそうです。果肉が柔らかく、果汁もたっぷりでジューシーな味わいが楽しめます。しっかりとした甘さもあり、酸味は少なめです。
主な産地は熊本県、新潟県など。10月頃に旬を迎えます。
二十世紀梨
「二十世紀梨」は青梨の一種です。鳥取県の特産品でもあります。
二十世紀梨は甘さと酸味のバランスが絶妙な品種です。ひとくちかじるとみずみずしい果汁が口いっぱいに広がります。
ただ甘いだけじゃない二十世紀梨は、さっぱりとした梨が好きな方にはおすすめの品種です。国内生産量の大部分は鳥取県が占めており、鳥取県での旬の時期は8月下旬から9月下旬頃です。
あきづき
「あきづき」とは赤梨の一種で、新高と豊水をかけ合わせた品種と、幸水を交雑して誕生しました。
有名な梨同士をかけ合わせて生まれたあきづきは、きめ細やかな果肉と強い甘み、ジューシーさが特徴です。なんともとても贅沢な味わいが楽しめます。
かおり
「かおり」は青梨の一種で、神奈川県で生まれました。現在では千葉県を中心に栽培されています。
かおりはその名の通り、香りが非常に良いのが特徴です。爽やかで梨らしい甘い香りが漂います。ほど良い甘みと酸味で、果汁も豊富です。果肉が柔らかいため、日持ちはしません。購入後はなるべく早く食べきったほうがいいでしょう。主な生産地である千葉県では、9月中旬から10月頃に旬を迎えます。
にっこり
主に栃木県で栽培されている「にっこり」は、赤梨の一種です。酸味が少なく濃厚な甘さを味わえます。にっこりという可愛らしい名前は、栃木県の観光地「日光」と「梨」をあわせた「日光梨(にっこり)」が由来です。10月下旬から12月中旬に旬を迎える晩生品種で、比較的日持ちします。年が明けても楽しめるでしょう。
幸水
「幸水」は国内で最も多く生産されている梨の品種で、まさに日本を代表する梨といえるでしょう。
赤梨の一種の幸水は、柔らかな果肉でシャキシャキとした梨らしい食感が楽しめます。甘みも強く、古くから国内で愛され続けている王道の梨です。主に千葉県、茨城県、福島県で栽培されており、8月頃に旬を迎えます。
豊水
「豊水」の特徴は果汁の豊かさです。まさに豊かな水という名前にふさわしいジューシーさを味わえます。
甘みも強く爽やかな酸味もあり、シャリッとした食感も楽しめます。千葉県、福島県、茨城県などで栽培されており、9月頃に旬を迎える品種です。
新甘泉(しんかんせん)
「新甘泉」は鳥取県のブランド梨のひとつです。8月下旬から9月上旬に旬を迎えます。
甘い泉の名前の通り、濃厚な甘さと溢れ出る果汁が特徴です。8月下旬から流通する早生品種で、早生の中では最上級の糖度を誇ります。大玉でとても甘い品種です。
【新品種】秋満月(あきみつき)
「秋満月」とは、千葉県で育成された梨で、令和3年の秋にデビューしたばかりの新品種です。まだまだ流通量が少ないため、見かけたらラッキーかもしれません。
秋の満月のように大きく実ることから、秋満月と名付けられました。酸味が少なく、甘さをダイレクトに感じる品種です。9月下旬頃から旬を迎える晩生品種で、日持ちもします。
【新品種】新美月(しんみづき)
「新美月」とは新潟県で生まれた、新潟でしか栽培されていないオリジナル品種です。旬の時期は9月中旬から下旬と短く、生産量も少ないためなかなか市場に出回らないレアな梨だといえます。
糖度は14度ほどで、濃厚な甘さとさっぱりとした酸味を感じる味わいです。
昨年の梨人気ランキング
※2023年7~9月のデータまとめ
梨の人気品種の特徴や旬の時期、注目の新品種などをご紹介しました。
品種にもよりますが、梨は夏の終りから年明け頃まで楽しめる果物です。しっかり甘い梨が好みなら「あきづき」や「かおり」を、さっぱり目が好みなら「二十世紀梨」「新美月」がおすすめ。様々な品種を食べ比べてみて、お気に入りの品種を見つけてみてくださいね。