ビールのおつまみとしても定番の枝豆が、糖尿病予防に効果があることはご存じでしょうか。枝豆は大豆の未熟な実を収穫したもので、食物繊維や植物性たんぱく質などが豊富に含まれています。本記事では、枝豆と糖尿病の関連性についてご紹介します。枝豆に含まれる栄養成分が、どのような理由で糖尿病予防に役立つといわれるのかなどについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
枝豆と糖尿病予防の関連性
糖尿病と枝豆には、どのような関係があるのでしょうか。「枝豆が糖尿病の予防に効果がある」と断定されているわけではありませんが、関連性についてはさまざまな研究が行われています。
糖尿病とは
糖尿病とは、血液中のグルコース(ブドウ糖)の濃度が異常に高い状態を示す代謝性疾患のことです。主に2つのタイプが存在します。
糖尿病名 | 詳細 |
---|---|
1型糖尿病 | 自己免疫疾患などが原因でとなり、血糖値を下げるホルモン「インスリン」をつくる細胞が破壊されることで発症する糖尿病 |
2型糖尿病 | 遺伝的要素に加え、食べ過ぎや運動不足などの生活習慣が重なって発症する糖尿病 |
血糖値が慢性的に高くなることで、全身にさまざまな病気をもたらすのが糖尿病です。どちらのタイプでも食事療法は必要ですが、生活習慣が発症の原因にもなる2型糖尿病では、食事内容の改善がより糖尿病の予防・治療効果を高めます。
枝豆と糖尿病リスクの関連性
大豆をはじめとする豆類や野菜などに含まれる食物繊維や植物性たんぱく質は、血糖値の急激な上昇を抑える働きにより糖尿病予防に効果的であると報告されています。
枝豆は、大豆の未熟な実を「さや」ごと収穫したものです。大豆と同じものであることを考えれば、枝豆の摂取は糖尿病予防に役立つ可能性があります。
枝豆と糖尿病予防との関連性については、今後さらなる研究に期待したいところです。
糖尿病の予防や健康づくりに役立つ枝豆の栄養成分
枝豆には健康づくりに役立つ栄養成分が含まれていることはよく知られています。ここでは枝豆の栄養成分をご紹介します。
植物性たんぱく質
枝豆は筋肉を作るために必要なたんぱく質を豊富に含んでいます。たんぱく質は筋肉や皮膚などの材料として、ホルモンや抗体などを構成する成分として体に不可欠な栄養素です。
たんぱく質そのものは血糖値を上昇させないため、糖尿病の食事療法においてもたんぱく質の適切な摂取が推奨されます。
枝豆100gあたりのたんぱく質含有量は11.7g。この量は牛肉や豚肉、鶏肉の約半分に相当します。
動物性たんぱく質とは異なりコレステロールを含まないうえに血糖値によい影響を与える可能性も報告されているため、健康に気を遣う方も安心して摂取できます。
食品名 | たんぱく質(100gあたり) |
---|---|
枝豆 | 11.7g |
牛肩ロース(赤身) | 19.7g |
豚もも肉(赤身) | 22.1g |
鶏むね肉(皮付き) | 21.3g |
食物繊維
血糖値の急激な上昇を抑制する効果が期待できる成分が、枝豆に豊富な食物繊維です。食物繊維は消化されずに大腸まで届く成分であるため、同時に摂取した糖質の吸収を遅らせる作用があります。
また食物繊維には、コレステロールを吸着して体外へ排出する作用があることから、血中コレステロール値の低下にも役立ちます。
食物繊維豊富な枝豆を食べることで、血糖値だけではなくコレステロール値のコントロールに役立つでしょう。
植物ステロール
枝豆には「植物ステロール」が含まれています。植物ステロールは動物性食品に含まれるコレステロールと構造がよく似ており、コレステロールと同時に摂取することでその吸収を阻害します。結果として、血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の数値を下げることに役立つのです。
食物繊維と植物ステロール、2つの成分の作用が組み合わさることで、枝豆はコレステロール値を下げる効果が期待できる食品であるといえます。
枝豆の適切な摂取量
枝豆の摂取量については、明確に定められているわけではありません。枝豆は「野菜類」に分類される食品であることを踏まえれば、他の野菜とあわせて1日350g以上の摂取が推奨されます。
しかし、枝豆は他の野菜と比べると、糖質や脂質、たんぱく質の含有量が多い食品です。食べ過ぎないように注意するほか、他の野菜とバランスよく食べることを心がけましょう。
糖尿病をはじめ現在治療中の病気がある方は、医師や医療スタッフに相談のうえで摂取することをおすすめします。
枝豆を糖尿病予防に活用するためのポイント
枝豆を糖尿病予防に活用するためには、適切な摂取量や食事の栄養バランスなどがポイントとなります。これらのポイントを押さえつつ、日々の食事に枝豆を取り入れることで、糖尿病予防に効果的に活用できるでしょう。
食べ過ぎない
枝豆は「野菜類」に分類される食品です。厚生労働省、農林水産省による「食事バランスガイド」では、野菜類や海藻類、きのこ類などのおかず「副菜」は一般的な成人で1日5〜6つ(1つ70g)摂取することを推奨しています。
しかし、枝豆は他の野菜よりも糖質やたんぱく質、脂質が多くカロリーも高めであることから、この量全てを枝豆だけで摂取することは望ましくありません。さまざまな食品で副菜を組み立てることを考えれば、枝豆は1つ分(70g)を目安に摂取することがおすすめです。可食部70gなので、さや付きで140〜150gが目安となります。
なお、糖尿病をはじめ現在治療中の病気がある方は、医師や医療スタッフに相談のうえで摂取することをおすすめします。
塩分に注意する
茹でた枝豆は、塩を振って食べるのが一般的ですが、塩分の過剰摂取は高血圧のリスクを高めます。塩味は控えめにつけるようにしましょう。適宜塩分カットの調味料を使用するなどの工夫も進めです。
栄養バランスのよい食事を心がける
枝豆だけに頼らず、バランスよく食事することも大切です。ご飯やパン、麺などの「主食」と、肉や魚などの「主菜」、野菜やきのこ、海藻類などの「副菜」を組み合わせ、さまざまな食品をバランスよく摂取しましょう。血糖値を上昇させるとして敬遠されがちな糖質も、体を動かすエネルギー源として適切に摂取しなければいけません。
糖尿病を予防するためにはさまざまな食品を摂取し、体に必要な栄養素を摂取する必要があるのです。
まとめ
以上、枝豆を糖尿病予防に役立てる方法について解説しました。枝豆に含まれる栄養素が糖尿病を予防する可能性があることがいくつかの研究により報告されています。
糖尿病の予防以外にも、健康づくりに役立つ枝豆を毎日の食生活の中に積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。